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クリスマス・バトルロイヤル

本当に久しぶりのSS投稿w
締め切りとかないとまったく書けない・・・次にあげられるのは何か月後かw


「畜生っ!!」


 今回のBPWA興行のメインイベントは、ベビーフェイス、ヒールの入り混じったバトルロイヤル。30分以上の長丁場もついに残り4人から3人にまで減り、悔しそうにリングアウトしたベビーフェイスが退場する。
 残ったレスラーはベビーフェイスのトップ、月嶋雫とヒールのブラッディ奥津、犬道郁美。去年のクリスマス特別興行で受けた屈辱はシングルマッチでそれぞれ返済した雫だったが、奥津と郁美にとっては待ち望んだ絶好のリベンジの機会だ。くしくも雫の衣装は去年のクリスマスと同じく白いファーの飾られた純白のレオタード。悪夢再び、とばかりににやにやとにじり寄るヒールたち。


「思い出すよなぁ、クリスマスで・・・」

「ああ、みっともなく泣き叫んでたよなぁ」


 コーナーで険しい顔つきで睨みつける雫に対し、ヒールの二人は緊張感なくにやけながら雫へと嘲弄を投げかける。


「こ、のぉっ!!」


 実質1対2のハンディキャップマッチとなってしまったリング上で、雫は奥津と郁美が油断している間に少しでも形勢を有利にしようと先に動く。真正面から突進、と見せかけ二人の前でいったん止まる。何の策もなく真っ向から来るとは思っていなかった二人はどっしりと腰を落とし、左か右から来るだろう雫を捕まえようとわずかに正面への注意をそらした。


「あいにくと・・・その正面からよっ!!」


 雫が狙っていたのは二人の注意がそれる瞬間。再び雫の足がマットを蹴りつけ、奥津と郁美の二人の首めがけて両腕を広げてダブルジャンピングネックブリーカーで飛びかかっていく。


「んなっ!!?」

「てめぇー・・・!!」


 すっかり獲物を罠にかけて捕まえる気満々だった二人はその実まだ獲物が反撃の余地を残していることに気づかないまままともに雫の突進を受け、マットへと後頭部からなぎ倒されてしまう。そして、雫の動きは止まらない。マットに背中から落下し、すぐさま立ち上がるとロープへ。そして反動で勢いをつけ、空中へと大きく飛び上がった。


「いやああぁぁぁぁっ!!」

 バシィィィッ!!


 空中へ飛び上がり、左右の足を広げて立ち上がってこちらへと体を向ける奥津と郁美、それぞれの胸元へのハイアングルドロップキック!ハンディがあろうが関係ない、雫の闘志に観客が歓声を上げる中、ヒール二人はまたしてももんどりうってマットに転倒する。


「あんっの女ぁ!!」

「ぶっ潰してや・・・!?」


 奥津が頭に血を登らせ立ち上がり、郁美もそれに続いて立ち上がろうとする。だが、郁美の動きが背後から飛びついた雫によって止められた。


「二人掛かりで闘うよりも一人の方がずっとやりづらかったわよ!!」


 郁美の体がバックドロップで投げつけられ、目を丸くした奥津の体へとぶつけられる。2対1で完全に有利に立っていると錯覚していたヒール二人の雑な動きに雫はうまく立ち回っていた。そして、ヒール二人は体をぶつけあわせられ、まとめてロープへと向かって転がってしまう。


「さっさとどけ!!」

「お前が邪魔すんじゃねぇよ!!」


 楽勝だと思っていた相手に噛みつかれ、頭に血を登らせた二人がお互いに怒鳴りつけ合いながら立ち上がろうとするが、そんな状態でもみ合えばすぐに体勢を整えられるはずもない。その間に雫が反対側のロープへと飛び、低空ドロップキックで二人まとめて場外へと蹴り落そうとしてロープに体をもたらせかけ・・・。


『月嶋!!危ないーーーっ!!』 
『後ろだ、避けろーっ!!』


 その瞬間、観客の叫びとともに、ロープに背中を預けた雫の首にロープがかかる。


「うぐうぅぅ・・・!?」


 とっさに背後から首に巻き付いたロープに手をかけるが背後からかかる力は雫の細腕では弱められず、ロープに体を預けたまま大きくのけぞってしまう。首に巻き付いた荒縄をつかんでいるのはヒールの若手たち。数人がかりで雫をロープで捕まえ、残りのヒールたちはベビーフェイスが止めようとするのを迎え撃っている。


「なにそんなとこで遊んでんだ!!さっさとやれやぁっ!!」


 リング外から奥津と郁美に檄を飛ばすのはヒール軍の頭領、ブラスター狂子だ。今回バトルロイヤルには参加しなかったが、その存在感は圧倒的でいがみ合っていた奥津と郁美が顔色を変えてそろって立ち上がる。


「は、放せぇ・・・!」


 2対1の余裕など完全に吹き飛び、ブラスターの前で無様はさらせないと完全にスイッチの入った二人が飛びかかってくるのを見て体を振ってロープから逃れようとする雫。だが、数人がかりで引っ張られるロープから逃れることはできず、奥津と郁美、二人掛かりのスピアーが雫のボディへと食い込んだ。


 どぼおぉぉっ!!

「ご、ぶぅ・・・!!」


 ロープに預けた雫の背中がスピアーで盛り上がり、ボディに炸裂した威力を示す。そして、ようやくベビーフェイスがロープを持つヒールたちにとびかかって緩めさせることに成功したが、すでに雫は奥津と郁美につかまってしまっていた。


「・・・・・・あ~あ、これで姐さんのお叱りは確実かぁ・・・」

「それですみゃあいいけどな・・・・・・せめてこいつはぶちのめさねぇと、よぉっ!!」


 ロープに寄りかかった雫を両側から捕まえ、体を前のめりに倒させていく。そして奥津は左膝を跳ね上げて雫のボディへとニーリフトを、郁美は両腕を組み合わせてハンマーブローを背中へと叩き付ける!


 ドポォッ!!

「うぶ・・・んんーーーーっ!!」


 上と下からみぞおちを挟み込まれ、目を剥いてマットに崩れ落ちようとする雫。受け身がうまくスタミナがあるためにしぶとさに定評はあるが、華奢な体つきではこのような打撃には弱い。試合のために物を入れていなかった胃から胃液が逆流し、口の中に苦い味が広がる。
 動きの止まった雫に、奥津は右腕と後頭部を、郁美は左腕と首をつかんで倒れるのを止めさせると、タイミングを合わせて雫を体の前面からマットへと叩き付ける。


「きゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 ごしぃぃぃっ!!


 ものすごい勢いで両腕を封じられたままマットに顔と胸から叩きつけられた雫。一瞬観客がまともにマットに叩きつけられた雫から視線を背けた。


「あうぅ・・・・・・あう、あぁぁ・・・・・・」


 顔からマットへと叩きつけられ、鼻と口元から血を溢れさせる雫。その両腕はヒール二人につかまれたまま、まるで罪人が引きずり出されるように無理やり顔を引き上げられ、顔の下半分が赤く染まった無惨な姿を観客に見せつけられる。


「はははははっ!!最初っから抵抗しなきゃ痛い目はもう少しましに済んだのによ!!」

「おいおい、油断するんじゃねぇよ。このお転婆はこの程度じゃ参らねぇぜ・・・なぁ!!」


 膝立ちになり、両腕を大きく広げさせられて動けない雫のふくらはぎへと容赦なく踵を振り下ろす郁美。左足に鋭い痛みが走り、口を大きく広げた雫が悲痛な絶叫を上げる。


 ずしぃっ!!

「いやああああぁぁぁぁぁーーーっ!!」


 どんな相手にも真っ向から立ち向かう、雫の足が体重をかけて踏みつけられる。そして奥津もまた足を振り上げて雫の右太ももへとつま先蹴りを食い込ませた。しつこく何度も蹴りつけられ、雫の両足には青あざが浮かび上がり、悲鳴を上げて体を振る雫の動きが封じられてしまう。


「あぅ、あ・・・・・・足、・・・足が・・・・・・」


 ようやく両腕を解放されてマットに倒れる雫。だが、青あざだらけになった両足には力が入らず、両腕だけで上半身を起こして奥津と郁美を睨み上げることしかできない。


「どうしたよ、そんな怖い顔して・・・」

「あれだ、この程度じゃ私は参らないわよってアピールしてんだよ。怖いねぇ、ほんと」


 ようやくマットに座る体勢にまで戻り、震える足でよろめきながら立ち上がる雫。その両側から奥津と郁美が迫り・・・。


「そんな怖い顔しちゃファンに嫌われるぜ!!」

「あたしらがうまく化粧してやるよ!!」


 雫の両サイドで二人は体をスピンさせ、伸ばした右手の甲を雫の両頬めがけて叩き付ける!


 ばごごぉっ!!

「ぐぎゅ・・・・・・!!」


 立ち上がるだけで精いっぱいだった雫にはそれを防ぐことも避けることもできず、まともに両頬へと裏拳がめり込んだ。完璧なタイミングで両側から打ち込まれた一撃に挟み込まれて一瞬雫の端正な顔がひしゃげ、観客の悲鳴が会場に響く。
 そのままマットへ崩れ落ちようとする雫だったが、首に絡みついたままのロープを両側から引っ張られることで倒れるのを許されない。両側からロープをつかんだ奥津と郁美の姿は、昨年の悪夢を強制的に思い起こさせる。


「思い出すよなぁ・・・みっともなく泣き叫んでた・・・」

「いやいや違うだろ、みっともなくぶちのめされてたんだろ?・・・今日も同じさね!!」


 頭部への攻撃で意識が軽く飛んだ雫が本能的に抵抗しようとする、その動きを両側から引っ張られるロープが封じ、強制的に立ち上がらせていく。


「さぁ~て、もう一度悪夢にうなされてもらおうか・・・よっとぉ!!」

 がごん!!

「・・・・・・!!」


 去年の焼き直しのように雫の後頭部を襲う、郁美のヘッドバット。脳を揺さぶられ、ふらつく雫の鼻額へと正面から奥津のヘッドバットが食い込む。


 がきぃっ!!ごんっ!がすっ!ごんっ!ごすっ!!

「・・・・・・・・・・・・!!」


 後頭部への郁美のヘッドバット、そして鼻や額へと打ち込まれる奥津のヘッドバットで雫の顔は真っ赤に染まり、意識も朦朧となっている。観客が悲鳴を上げる中、両側からロープを引っ張る奥津と郁美によってロープ際へと引きずられていく雫。ぐったりと両腕を垂れ下げ、呆然と開いた目は焦点を失っていた。
 ダウンすら許されずに引きずられる雫の姿がリング周囲の観客に向けてしっかりと見せつけられ、ようやく解放された雫は前のめりにマットへと倒れこみ、そのまま動かない。完全に決着がついたかに見えるが、雫が脱落したとしてもまだリングの上には奥津と郁美が立っている。どう決着をつけるのか、怒りを含んだ視線で睨みつける観客たちに見せつけるように大ぶりなしぐさでじゃんけんを始める二人。


「「ジャン、ケン・・・・・・ポンッ!!」」


 奥津はチョキを、郁美はパーを出す。どちらが勝者となるのかじゃんけんで決めるのかと観客が怒りにブーイングを飛ばす中、じゃんけんで勝った奥津は雫を引きずってロープをくぐり、リングエプロンへと立つ。


「それじゃ、あたしが決着つけさせてもらうよ。悪く思うなよ!」

「次は私がやらせてもらうからな!!くそったれっ!!」


 二人のじゃんけんは、このバトルロイヤルで誰が最後に残るのかではなく、どちらが雫にとどめを刺すかを決めるものだった。それを悟り、ひときわ強くブーイングを飛ばす観客たちの視線の先で、奥津が雫の首に右手をかけ、ワンハンドネックハンギングツリーで持ち上げる。頤をそらして脱力したままの雫にはもう抵抗する力もない。だが、奥津は構わず、エプロンを蹴りつけて放送席めがけ、雫ごと場外へと飛び降りていく。


『うわああぁぁぁぁぁぁぁーーーーーっ!!!!』


 観客の悲鳴が上がる中、雫が後頭部から放送席の机へと叩きつけられものすごい音を立てて机が破砕される。それでも勢いは止まらず、場外への雪崩式のど輪落としが雫の華奢な体を蹂躙した。


 ばきゃあぁぁっ!!

「・・・・・・・・・・・・」


 机の残骸に体を預け、仰向けになって大の字をとる雫はもうピクリとも動かない。勝ち名乗りを上げるように右腕を掲げる奥津へ猛烈なブーイングが飛ぶ中、一人リングに残った郁美が勝者となり、試合終了のゴングが打ち鳴らされる。


 カンカンカンカンカーーーーン!!!!


 1年前の悪夢そのままに打ちのめされてしまった雫。観客が悲鳴やブーイングを上げる中、駆け寄ったベビーフェイスたちによって担架に乗せられ、すぐさま退場させられていった。
 翌日のスポーツ新聞は大見出しで担架に乗せられ退場していく雫の写真が載せられ、「クリスマスの惨劇再び」と見出しが付けられる。
 入院も考えられた雫はその後新年興行に包帯も痛々しく登場し、シングルマッチで奥津を沈め、そして連戦にもかかわらず郁美をマットへと上げて何もさせずにフォールにとった。普段相手の見せ場を考えてファイトする雫には珍しい相手を完全に封殺する試合運びに観客は静まり返り、噛みつきそうな目で睨みつける奥津と郁美を無視して退場する。
 それぞれの怒りが交錯する中、血生臭い予感を漂わせながら新年は幕を開けるのだった。
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